そもそもお仏壇の由来とは?
仏壇の原型は法隆寺の玉虫厨子といわれています。また天武天皇14年(685)年3月27日に「詔したまわく、諸国に、家毎に、仏舎を造りて、すなわち仏像及び経を置きて、礼拝供養せよ(日本書紀)」との詔がだされて、この日をもって家ごとに仏壇を安置する起源としています。ゆえに全日本宗教用具協同組合では、3月27日を「仏壇の日」と定めています。その後、仏壇が現在見ることのできるような形になり普及し始めたのは江戸時代初期のようです。仏壇が今見るような形に至るまでのルーツには諸説あるようです。
■小型寺院説
仏壇業界では「仏壇は寺院をミニチュア化したものです。」と例える場合があるのですが、真宗が主に使用する金仏壇やその仏具荘厳(仏具飾り)はまさに寺院の様式を反映したものです。真宗が比較的多い尾張名古屋地区などでは、他宗派の仏具荘厳や仏事にも少なからず影響を与えているようです。
■位牌棚説
室町時代に足利義政により建てられた銀閣寺に東求堂という建物があります。その東求堂にある持仏堂には「位牌床」という位牌を並べる床の間のようなものがあり、その形は江戸時代の民家に設置された位牌棚としての仏壇に似ており、更に襖が組子障子であれば関東地方で多く祀られてきた位牌棚仏壇そのものといえるようです。
お仏壇を選ぶときのポイントを教えてください。
お仏壇を買うことは、一生に一度か二度あるかないかの経験です。高価そうに見えるし、種類やサイズはどのように選んだら良いのか、適切なアドバイスが望まれる所でしょう。そこで、少しでもそんな方のお役に立てますよう「仏壇選びのポイント」をご紹介いたします。この後のQ&Aと合せてご参考になさってください。
1.およその置き場所をご家族の皆様で決め、場所のサイズをお測りください。
■仏壇の置き場所の例
仏間・床の間・畳や床に直置き・床の間の飾棚・タンス等の家具の上・押入れなど
■仏壇を置く方角
1)西方浄土説(極楽浄土がある西に向かって拝むのが良いとする説)に従って仏壇を東向きにする。
2)南面北座説(南に向かって座るのが上座とする説)に従って仏壇を南向きにする。
3)1か2が望ましいが、北向き以外ならよろしいとされる場合もある。
■サイズの測り方
仏壇を設置する場所の幅・奥行き・高さを測ります。仏間・押入れでご検討のお客様は入り口の各サイズと内部の各サイズをお測り下さい。
2.宗派とお寺様の名前をご確認下さい。
仏壇の形式が宗派により決まっている場合、お寺様によりご指定の仏具がある場合がございますので、宗派とお寺様名をご確認下さい。
実際にはどのような種類やサイズがありますか?
●多様化する仏壇の種類
近年「お仏壇」の種類は豊富になり、現代の生活様式にあわせて、種類・デザイン・サイズともに年々増加しています。
漆を塗り金箔で絢爛豪華に仕上げた伝統的な金仏壇(塗仏壇)、黒檀や紫檀に代表される樹木本来の木目を活かした重厚感のある唐木仏壇、和室以外の空間にも違和感なく溶け込むデザインの家具調仏壇、タンスや家具の上に乗せておまつりすることが出来る上置用小型仏壇、神道の方がおまつりする神徒壇と多種多彩です。宗派によっては決められた仏壇の形式があったり、お寺様によるご指定の仏具飾りがある場合もございます 。
●仏壇のサイズについて
サイズの目安ですが仏壇は基本的に一定のサイズ規格で作られます。一般に「○号」(例:20号とか43-20号とか)という単位で表示します。これは一般的には仏壇の扉を閉めたときに横幅の一番狭い場所のサイズを測ったものを指しています。ただし、上置用の仏壇は総高さで測ったものを指します。22号=66cm 20号=60cm 18号=54cm 15号=45cmといったように1号=約3cm(1寸)で定めています。
A.金仏壇(塗仏壇)
金仏壇は全体に黒の漆塗りなどを施し金箔や飾金具、蒔絵等で装飾した仏壇です。各地で形や造りなどが様々あります。又、金仏壇はどれも同じように見えるかもしれませんが、各宗派によって内部の造りに違いがあります。本尊を安置する須弥檀上の宮殿の形がそれぞれの本山の形を模して作ってある為です。自分の宗派に合った金仏壇を選ぶようにしましょう。特に浄土真宗の場合は大谷派(お東)、高田派、本願寺派(お西)などいくつもの派に分かれ仏壇内部の形も異なりますのでご注意ください。
■適応宗旨・宗派
主に浄土真宗(真宗大谷派・浄土真宗本願寺派・真宗高田派)。その他、禅宗各宗用の金仏壇もあります。
B.唐木仏壇
黒檀・紫檀・鉄刀木など銘木と呼ばれている木材の木目の美しさを活かした落ち着いた色目の仏壇です。
黒檀・・・材質は堅く、耐久性に優れています。
黒地に美しい木目が浮き出た高級な木材です。
紫檀・・・暗紫紅色で黒檀と同格の銘木です。
細やかな木肌は仏壇に仕上げると独特な味わいがあります。
黒柿・・・黒色の縞目があり、原木の芯部は木目が細かく
黒檀と同様に貴重な素材として様々な工芸品に使用される銘木です。
素材としては他に鉄刀木、欅、屋久杉などがあります。
■適応宗旨・宗派
各宗旨・宗派に適応。
C.家具調仏壇
ライフスタイルが多様化する時代、お仏壇を安置するスペースもいろいろです。
フローリングの洋間やリビングにおいても違和感のでない、家具のような色調、デザインの仏壇です。近年、種類も増えてきて一般にも浸透しつつあります。素材には栓・タモ・ナラ・ウォールナット・欅・メープルなどが使われます。
■適応宗旨・宗派
宗教・宗旨・宗派は問いません。
■サイズ規格
製造メーカーによりサイズの表示規格がことなります。床置き用は高さ130cm~150cmくらい幅は45cm~55cmくらいのものが主流です。上置用になりますと高54cm~60cmくらい幅で40cm~47cmほどが主流のサイズとなります。
D.ダルマ仏壇(上置型仏壇)
背の低い箪笥や家具の上に乗せておまつりすることのできる小型の仏壇です。位牌だけを入れるような超小型のものから本格的な仏壇造のもの家具調タイプのものまで多種類あります。
■適応宗旨・宗派
宗教・宗旨・宗派は問いません。
■サイズ規格
床置用の台付の仏壇が一般的に幅でサイズ規格を規定しているのに対し高さでサイズ規格が決められています。14号~25号くらいまでが主流です。1号=3cmで大体の高さがわかります。(例:20号=60cm)
E.神徒壇(祖霊舎・御霊舎)
仏教徒が仏壇をおまつりするのに対して神道の神徒は神徒用のお壇をおまつりします。一般的な神棚と同様に桧などの白木でできているものが多いです。
■適応宗旨・宗派
神徒
■サイズ規格
小型上置用から3尺仏間用の本格的なものまでサイズがございます。
新しいお仏壇を家に迎えたときの法要は?
お仏壇開き(開眼供養・お精入れ・魂入れ)といいます。
お仏壇をお家に納めたら、まずお寺様を呼び、魂入れ(お精入れ)つまり開眼供養を行います。この開眼供養という法要は我々の家の新築と同じでお祝い事となり、ローソクは朱のものが使われ、”海の物・山の物・里の物”や紅白餅をお供えしたりもします。そしてお寺様へのお礼は紅白の祝儀袋で差し上げます。
※地方や地域、宗旨・宗派により、やり方は異なります。
※特に浄土真宗の場合は入仏式、御移徙(おわたまし)となります。
お仏壇の適切な向きや置き場所は?
●仏壇の置き場所
最近では仏間がない場合のお客様もかなりいらっしゃいます。床の間、畳の上等常識的な範囲内ならば置き場所は気にしなくて結構だと思います。
●仏壇を向ける方向の諸説
仏壇を向ける方向には諸説あるようです。近年では、住宅事情等がさまざまなこともあってか、方向はさほど気にしないようです。あえていえば仏壇正面が北向き以外ならば、結構でしょう。
■西方浄土説
西の方角に極楽浄土があるとする仏教の教えにもとずいて、仏壇を東向きに置き西の方角を向いてお参りする。
■本山中心説
各宗派本山を拝むという意味から、お仏壇をお参りするときの方向を本山を拝む方向に向くように配置する。
■南面北座説
家の中の一番よい場所である南向きの方向に置き北に向かってお参りする。
葬儀から忌明けまでに準備するものは?
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お盆の心得を教えてください。
●お盆に揃えるもの
お盆にはご先祖様が戻ってこられるといわれております。一部宗派を除き盆提灯を飾り、お精霊棚を設けて先祖の霊をおもてなします。また、せっかくの仏教行事ですので普段あまりお参りしない方でもお仏壇、 お墓をきれいにお掃除してさしあげ手をあわせたいものです。
●お盆のいわれ
お盆とは正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ) 」といい、仏弟子の目蓮尊者が餓鬼道に墜ちた亡き母を救おうとして、その母に食物を与えたのですが救われず、お釈迦様の導き で衆僧を供養することにより初めて救われた(その日が7月15日)という故事から起こった行事です。
「盂蘭盆」とは梵語で「倒れ懸け(供養が足りないため救われずあがいている者)」の意味です。「会」は供養、法会のことで、つまり亡くなった方々が倒れ懸けているの
を供養し救うための行事なのです。
■盆提灯
お盆にはご先祖様方がこの世の自分の子孫の元へ帰ってくるといわれています。そのための目印となるものが盆提灯なのです。
■お精霊棚
精霊棚はお盆にご先祖様方の霊を迎えてもてなすために用意する棚で、位牌を並べてその前に精進料理のお膳や迎え団子、その他野菜や果物等を供えるものです。つまりご先祖の霊を丁重にもてなしお慰めして追善回向しようとするのが精霊棚のならわしです。
マコモ(下に敷く敷物)、ハシギ(「なすの牛」・「きゅうりの馬」の足の部分) タイマツ、陶器の小皿(お供え物)などお精霊棚を作るための材料は当店にてご用意しております。
お位牌の心得を教えてください。
●位牌の祀り方
忌明けまでは「白木の位牌」で祀って下さい。その後は「本位牌」といい、塗り物や唐木製の位牌に戒名(本願寺系統では法名といいます)と俗名、亡くなった日にち、歳・年齢などを彫ったり書き入れたりしてお仏壇でおまつりします。また、宗派により位牌やそれにあたるものも違います。
■真宗大谷派(東本願寺)
本位牌は作りません。仏壇内左右両側面に法名軸をかけておまつりします。
法名軸というものは法名をお手次の住職に書いて頂きそれを仏壇・仏具店にて表装をして作ります。先祖代々の法名がたくさんある場合は一軸を罫で区分して数多く記載できるようにした合幅法名軸を使います。また過去帳や地区によっては繰出し位牌(回出位牌)でも結構ですが正式には法名軸です。(関東地方などでは板位牌を使用するそうです。)
■浄土真宗本願寺派(西本願寺)
位牌は使わず過去帳に亡くなった方の法名・俗名・命日等を記します。そして見台の上に過去帳を置きおまつりします。
■その他の一般的宗派
(浄土宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗、天台宗、真言宗、黄檗宗、等)塗り物や唐木製の板位牌に戒名、俗名、命日、年齢等を彫ったり書き入れたりしてお祀りします。仏壇内での置き場所はご本尊と同じ段は避けそれより一段下にお祀りします。また正面を避け右隅または左隅に置くのが一般的です。左右により位があり、向かって右が上座となります。
お数珠の知識を教えてください。
●数珠について
正式には宗派により数珠のつくりや玉や房の形など違いがありますが、現在、一般の方の大部分が宗派に関係なく用いられる「略式念珠」をご使用になられてます。
略式念珠の場合は玉の色や材質・房の色や形も特別気にされる必要ありませんが地方の風習により多少の違いがあるようです。
●数珠の起源
お数珠(珠数)は"念珠"ともいわれ、お釈迦様が「木の実をつないで連珠をつくり念仏を唱えて1つずつつまぐることで心を静め、煩いを除き、諸事正しき方へ向かう」と説かれたことにはじまるとされています。
お数珠はただ身につけるだけで精神力や潜在能力を高めてくれるとお経本に記されている大変意味深い法具で、法事や葬儀のときに持つのは故人の冥福を祈る心を増幅させるためといういわれからなのです。
●数珠のいろいろ
お数珠には各宗派の正式な形の念珠、一般的に広く使われている略式念珠、最近ではアクセサリー感覚で身に付けられている腕輪念珠、面白いところでは携帯ストラップなどまであります。
特に腕輪念珠などは種類がいろいろありで、例えば水晶・メノウ・ヒスイといった貴石製のもの、黒檀・白檀・菩提樹などの木製のもの、羅漢彫り・骨彫りなどといった彫刻のされた変り種までさまざまです。
●数珠の修理
お数珠は真中に穴を開けた玉に糸を通して房をつけて作られています。特に貴石などでできていいるものは玉に開けてある穴の角で糸がすれてちぎれてしまうことがあります。そのような糸のつなぎ直しや古くなった房の交換などのご修理を承っております。ご利用くださいませ。
仏壇・仏具のお手入れ方法は?
●仏具の飾り方について
お仏壇はお客様の丁寧なお世話により、はじめて20年も30年も美しいままでお参りいただけるものです。また、お仏壇をお世話することがご先祖様へのご供養となるのではないでしょうか。次の扱い方・掃除の仕方をご参考にこまめなおと手入れをなさって下さい。
●お掃除をする時
お掃除はもちろん毎日か1週間に1回ぐらいされるのが一番です。しかし、なかなか時間のない方は気が付いたときにされるか、最低でも1年4回、正月・春彼岸・お盆・秋彼岸の各行事をお掃除をしてきれいなお仏壇で迎えましょう。
【手順-1】
お仏壇のお掃除に取り掛かられる前に仏壇内に飾ってある仏具を出して下さい。しかし、ぶら下がっている仏具は電気配線等がしてありますので触らない方が無難です。また、掛軸・仏像も触られない方が無難です。あと欄干が外れるものははずしておくとよいでしょう。
【手順-2】
お仏壇・お仏具をお掃除します。お掃除の仕方は下記をご参考下さい。
【手順-3】
仏具を飾り付けます。
●お仏壇のお手入れ方法
お仏具は基本的に柔らかい布でカラ拭きか固く絞って水拭でやさしく丁寧に掃除します。金属系のお仏具で『真鍮製の磨き』のものは色がくすんできましたら、金属磨き粉で磨いて下さい。但し、『金メッキ加工』がしてあるものは金メッキが剥げますので絶対に磨かないで下さい。また『色付加工』のものも色が剥げますので絶対に磨かないで下さい。金箔・金粉の施してある仏具は金箔・金粉部分に触れたり、拭き掃除しないようご注意下さい。
●扉の開け閉め
お仏壇の扉を開けておくことはご先祖様がわれわれを見守っていただいているという意味でもありますので、扉は普段あまり開け閉めされないことをお勧めいたします。金仏壇の場合、扉の開閉時に金箔を不意に触ってしまったり、傷付けてしまうおそれがあります。また、黒檀・紫檀の無垢材を使った唐木のお仏壇は扉だけでも結構な重量がありますので蝶番への負担を軽減させるためでもあります。
●金箔・金粉部分お掃除の仕方
金箔・金粉の部分は拭き掃除できません。お客様で金箔部分を布拭きしてしまい金箔を剥がしてしまう方がよくいらしゃいますのでお気を付け下さい。毛バタキを使い、触れるか触れないか程度に風圧でホコリを払う感じでお掃除して下さい。また、蒔絵部分も同様にして下さい。
●漆部分のお掃除の仕方
漆部分は柔らかい布か仏壇掃除用の布を使い、基本的にカラ拭きします。ホコリがひどい場合よく絞った濡れ布であらかじめホコリを落としてからカラ拭きします。漆部分をお掃除する際に金箔部分に布が触りますと金箔が剥がれる恐れがありますので充分ご注意下さい。
●唐木部分のお掃除の仕方
他の部分と同じく、カラ拭きでお掃除します。仕上げに仏壇専用のツヤだしワックスを塗り磨きます。彫り物や障子組子等細かい部分は毛バタキを使い、軽くホコリを払い掃除します。
お仏壇の移動や処分はお願い出来ますか?
お仏壇のお洗濯、スス出しはどのようにお願いしたらいいですか?
「我が家のお仏壇、古くなってくすんで見えるし、金箔の部分もはげて黒くなってしまったみたい。」 「家を新築したいけど、その間預かってもらってきれいにしてもらえないだろうか。」 「法事があるけれど、それまでにきれいにしてもらえる?」 などお店にみえるお客様からよく頂くご質問です。
お仏壇の種類、お仏壇の状態、大きさなど様々な状態に対応しお客様の立場に立った、 誠意のこもったアドバイスをさせて頂けるように心がけていますので、前もって一度お仏壇を見せて頂くことをお願いしています。
お仏壇は、家族の歴史がつまった大切な心の拠り所です。ご縁があれば、きれいにスス出し、洗濯をして気持ちよくお参りするお手伝いをさせていただければ、大変うれしく思います。
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